私の考える「退去ゼロ」の戦術ですが、物件の「購入時」と「購入後」に分かれます。
<購入時>
やはり大きくは次の2つでしょうか。
1 「立地最優先」 何をさておいても立地最優先に考える
2 「部屋の広さ」 賃借人のターゲットを定め、将来を見越して部屋の広さを決める。
ターゲットとは入居してほしい人の(性別・年齢・職業)です。
@「立地最優先」・・・なによりも重要です。圧倒的な利便性です。駅徒歩2分。ゆずって5分以内。車社会は遠い昔です。若い人は車を持ちません。持てば維持費、駐車場代がかかります。年収にもよりますが、車の維持費、駐車場代支払う余裕などありません。年収が低すぎて結婚さえもままならない人がいるといった時代です。また、ショッピングモールや市役所、病院等に近いこと。高齢者は長い距離を歩けません。コンパクトシティ化が世の流れです。これらの利便性が満たされているなら、便利さでここに勝るところはない。となれば長期入居になるのではないでしょうか。札幌で最も利便性の高い場所はどこでしょうか?もっとも便利な地下鉄のラインは?駅はどこでしょうか?・・・もう〇〇エリアしかありませんよね!アパマンプラザで聞いてみましょう。
A 「部屋の広さ」・・・「お客様に選ばれる部屋」とはどういう部屋でしょうか。今後も、というか今も現在進行形で家賃は下がり続けています。広い部屋も狭い部屋も家賃は均衡しはじめています。そもそも同じ家賃で広い部屋と狭い部屋のどちらを居住者は選ぶでしょうか。将来的なニーズ、流行りもあるでしょう。それられに対応するために内装、間取りにアレンジを加えやすいのは広い部屋でしょう。ただし狭すぎるのはダメですが、広すぎるのもダメだと思います。
この「購入前に外せないこと」については前回のレポートでも触れました。
(ア) の「立地」もA の「部屋の広さ」も買ってしまえば、「後悔先に立たず」です。
今回は、<購入後>のリテンションについて実体験を交えて少し細かく話させて頂きます。
<購入後>
次の2つをあげたいと思います。
3 「入居審査」
4 「住み心地」と「現場主義」
「入居審査」時に、決めるかどうかの意思決定はオーナーが自分自身の最終判断をしっかりと行うべきですし、居住者の入居後の「住み心地」を満足して頂けるものにするには、オーナーが賃貸人としての当事者意識を持ち、現地に足を運び、関係各方面にヒアリングしたり情報収集に努めたり「現場主義」を大切にする必要があります。
3 「入居審査」・・・人の採用とよく似ています。しっかりと面接しないと早く辞めてしまうのと同じです。飲食業界では、「90日ターンオーバー」にフォーカスします。「90日ターンオーバー」とは入って3か月以内の退職です。それをなくします。採用されてから3か月以内に辞める人が何パーセントあるか。その数値が基準より高いお店は何らかの問題があります。人物や人柄をよく見ずに採用したといった「面接の仕方」に問題があったり、入ってからの研修のありかたや、店舗内の人間関係、コミュニケーションの取り方に問題があったりします。「面接の仕方」は、イコール「入居審査」です。
「入居審査」はリテンションにとても重要だと思います。賃貸管理会社からは「こういう申し込みがありましたがどうされますか?」との問い合わせがあります。決断しなければなりません。「この人と契約しよう」と決めるのはオーナー自身。自己責任です。賃借人が短期間で退去しても管理会社に責任はありません。
その後は家賃滞納リスクもあるでしょう。集客力があり賃貸付が容易な自信のある物件なら、募集要件で、入居期間が比較的短い(1〜2年程度)「転勤族ご遠慮ください」はありだと思います。「転勤=退去」ですから。
そして家賃の問題があります。家賃は適正金額に設定しておくことが大前提です。申し込み時に減額交渉が入ったらある程度譲歩する方がよいと思います。申し込み者はその部屋が気に入り、ほぼその部屋で決めています。減額されなければ決めないということはほとんどありません。他にかなり競合している部屋があれば別ですが、しかし、多少譲歩することで、入居時に家賃まけてもらってお得に入居できたのだからと長く入居して頂けます。
気持ちよく入って頂くということです。ただし、必要以上に家賃を下げる必要はありません。「家賃を下げること=マンション価値低下」になるからです。契約更新時も家賃減額交渉があればその時その時の相場家賃に変えてあげる方が良いと思います。家賃が原因での退去の場合、居住者は退去申し出された時には次の部屋を決めているわけで、意志は固く覆りません。そこから「家賃が高いことが退去理由なら少し値下げできますよ。」と言ったところでもう遅いということになります。
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