楽観は、いい加減な情報を信じていたからか、正しい情報を得ていたのに相手を見くびっていたからか。いやあ、オシム新監督恐るべし、頼もしい言葉ですね。
私は、これが投資における思考プロセスと全く同じなのでこの言葉が気に入りました。さすがワールドカップとなると、ここまで理詰めでないといけないのですね。
根拠無き楽観、経済大国ボケにとらわれる多くの日本人が感染している死に至る病です。そう、国民のほとんどがこの経済大国が将来も続くという間違った情報を信じているからに他なりません。世界経済どころか日本経済さえ知らない層が、現状が続くと思うのは当然です。しかし、何も知らないままじりじりと貧困に追い込まれる、正直こういうフランダースの犬やマッチ売りの少女のような悲劇は見たくないと言うのが本音です。ただ、勝者があれば敗者がいるこれも冷徹な現実です。
しかし、既に1995年から労働人口が減少しているという情報は知らなくても、出生率が1.2という事は世代交代が進めば人口は、2人が1.2人、やがて6割に収斂するくらいの事はちょっと考えればわかります。ここまで知っていて、まだ楽観している事ができる人は相手を見くびっている事になるのでしょう。しかし、日本の少子高齢化を見くびってはいけません、これが将来、致命傷になるのは間違い有りません。
イスラエルがヒズボラ掃討の為に地上戦突入しましたが、彼らの基本的な信念は、子孫が将来周辺のアラブ諸国に対し劣位になり滅ぼされないように現在できる限りの事をするというものだそうです。それで戦争を正当化できるとは思いませんが、だらだらと子供を作らず国を弱体化させて行く国民よりはよほど精神的活力は感じます。
私は過去15年間の日本人の精神力の低下には恐れを通り越して呆れてしまいました。だから、日本経済を見限ったのです。しかし、この社会の閉塞感が何に起因しているのか、私にはよくわかりません。ただ、成功体験の積み重ねと逆のサイクルが廻っているのではないかと推測しています。おそらく、人生がだらだらと続く負け戦で厭戦気分になっているのでしょう。
先日も書きましたが、人生は負けも多く有ります。そして、経験として勝った時より負けた時の方が人間は成長します。重要なのは負けの原因が前述のように情報が間違っていたのか、相手や状況を見くびっていたのか、原因を掘下げ同じ失敗を繰返さないようにする事です。実は、今回最初にオシム新監督の記事を読んだ時、意味が汲み取れませんでした。熱ものに懲りてなますを吹くようになった自分には、根拠無き楽観という思考が喪失していたのです。いや、本当に負けは人間を成長させます。
ところで、突然ですが人口減少における不動産投資の鍵は交通の便です。10年前に言った場所とはちょっと意味が異なるので、念の為に言っておきます。絶対に交通の便の悪い所が安いからと言って目が眩んではいけません。いずれ人口は6掛け、家は4割余る、これを忘れてはいけません。そして、これは予想ではありません、出生率によって確定した将来顕在化する事実なのです。そして、最悪な事にもう特効薬はありません。
おそらく皆さんは正しい情報を掴んでいるはずです。後は敵を見くびらなければ大きく負ける事はありません。
ヒズボラは地下30mの地下壕を作っていたそうで、空爆では破壊できなかったようです。こうやって敵というのは常に予期しなかった手を打って来るのです。バンカーバスターがほしいところですが、我々も将来の危機に対し財力や能力という武器を持たないと戦えないという教訓を感じるのは私だけでしょうか。
蛇足ですが、6掛ける6は36、世代交代が2回進めば人口は半分以下、こうなれば日本は2流どころか3流国です。トックビルさんでしたか、死者は墓石で投票すべきと言われていましたが、この衰退軌道は子孫の繁栄の為に耐えた先祖に申し訳ない話ですね。
しかし、自分としては大国が滅びる構造はなんとなくわかって来ました。智の探求者としては大きな成果なのですが、喜べませんね。
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