"戦後、日本はソーシャルクラスが無く一億総中流社会と言われて来ました、現在もそうなのでしょうか。既に個人の金融資産の総額は1300兆円と言われております。これは世帯平均ではいくらになるのでしょう。現在日本の世帯数は約4000万世帯と言われていますから、平均は3250万円となります。しかし、この数字は実感として多いと思われるはずです、どうしてなのでしょうか。
米国や英国などの先進国では上位2%の世帯が40%の資産を保有していると言われております。日本のデータは公表されておりませんが、おそらく既に近い状態にあると仮定しこの数値を使いたいと思います。それで計算するとこの2%の80万世帯が平均で6.5億円、残り98%が1990万円となります、こちらの方が実感に近いのではないでしょうか。余談ですが、バブルの時代を考えると上位2%の世帯の平均が6.5億円というのは非常に少なく感じます。株価が1/2ということと資産家ほどこの他に不動産等を持たれていることを考えれば良い線とも思えます。
では、98%の世帯別では保有資産の分布はどうなっているのでしょうか。前述のように正確なデータが公表されていませんので今回世帯別の資産保有額分布を曲線で仮定しました、正確であるかどうか確認する手段は無いのですが当たらずとも遠からずではないかと思います。これを見ると既に上位2%がダントツで大資産家クラスを形成していることは明らかです。このクラスは、うらやましい話ですが、完全に資産が資産を生む状況なので時間と共に更に強大化して行くと考えられます。
前置きが長くなりましたが、今回の課題は大部分の皆さんが属されている次の層の状況を知り何をなすべきかを明確にすることです。皆さんグラフで自分がどの位置にいるか把握できたのではないでしょうか。それにしても1億円以上持つ世帯が約5%とは、バブル崩壊後1億円以上の金融資産を保有していることが容易ではないことがわかります。バブル時1億円などN証券の古参の女性社員でさえ自社株で持っていたと言われる額です、本当に隔世の感があります。金融資産ではありませんが、収益用不動産の価格も1/5になったと言われていますが、バブル時でも5億円の不動産といえばまあ当時でもお金持ちかなという感じもします。しかし、この5%という数字は上位2%を含んでいますので、N証券の定年までに1億円貯めましょうというのは世襲財産を持たないサラリーマンにはいかに高いハードルかということがわかります。
といって、1億円というのはやはり高いハードルだったのか、で終わってしまってははじまりません。確かに貯蓄などリターンの低い普通のやり方では不可能でしょう。しかし、「億万長者へのパスポート」で紹介したようにたとえ資産の無い若者でさえ成功のシナリオを作り確実に実行してゆけば可能なのです。まずは各人に応じた「成功のシナリオ」を作成することです。年齢・収入等皆さんの置かれた条件は千差万別なので残念ですがここでは各人に具体的なシナリオは紹介できません。でも20-30代の方は「億万長者へのパスポート」を自分なりにチューニングすれば良いですし、それ以上の年齢の方もこれを参考にすれば自分の資産の増大をはかれるシナリオを作成できるはずです。
ところで、改めてこうやって資産分布を見て行きますと持つものは更に富み、持たざるものはいつまでも持たないままという事実がひしひしと伝わってきます。
例えば、世襲財産のない人は、4200万円の家を買うのに30年かけて総額で6000万円程度になるローンを払い続けなければいけません。それに対し例えば1億円の資産を持つ資産家はこれを6%で運用すれば年600万円の収入があります。7年もすれば4200万円の家が買える勘定です。30年運用すれば1億8000万円です。30年後の差を見て見ましょう、家の価値がそのままとしても家を買った方は金利1800万円払っていますので、最初1億円の差が2億8000万円-4200万円+1800万円=2億5600万円になります。実際には30年後、家は価値がないのでその差はもっと大きいはずです。いかにある程度の資産を保有し運用益を上げていくことが資産家として成長して行くのに必要であるかということがわかると思います。また、ローンで家を買って安心している層がいかに心もとない状況にあるかわかって頂けたと思います。
資産運用の仕事をしていると資産運用というのが雪だるまということを実感します、最初に小さかった雪玉が大きくなってくると、後は加速度的に大きくなって行くのです。これが私が、まずまとまった資産確保を目標にするように奨めている理由です。ある程度の大きさの雪玉はうまく運用すれば加速度的に大きくなるのですが、何も無いところはいつまでも何も無いままなのです。いかに早く資産を実体化させ、うまく運用するかが勝敗を決するのです。
次回part2に続く・・・"
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