簿価が低く時価が高い土地を所有する者が、その土地を現物出資することによって、不動産投資信託(REIT)の株式を取得するという仕組みのこと。
土地所有者が土地譲渡益への課税を回避できる点が最大のメリットである。
UPREITという言葉は「Umbrella Partnership REIT」に由来する。UPREITは1992年に米国で導入された新しい仕組みであり、1992年以降に米国で作られた不動産投資信託(REIT)のうち実に7割以上がUPREITであるという。
UPREITを作る方法は具体的には次のとおり。まずUPREITの法的な実体は「オペレーティング・パートナーシップ」と呼ばれるものである。これは日本における組合に類似する。
この「オペレーティング・パートナーシップ」に対して、土地所有者はその土地を現物出資し、不動産投資信託(REIT)は金銭を出資する。こうしてオペレーティング・パートナーシップが形成されると、その運営は不動産投資信託(REIT)が行なう。
その後、土地を現物出資した土地所有者はその出資分を、不動産投資信託(REIT)の株式へと転換することができる。この転換の時点で初めて、土地を現物出資した土地所有者に対して、出資分と株式価格との差額への課税が行なわれることになる。逆に言えば、土地を現物出資した土地所有者が、出資分を株式に転換しない限り、課税されることはない。
このようにUPREITを利用すれば、土地の含み益を顕在化することなく、土地所有者が不動産投資信託(REIT)の株式を取得できる潜在的な権利を得ることができる。
わが国ではまだUPREITの仕組みが導入されていないが、例えば都心部の再開発において、組合を組成して地権者が土地を組合に現物出資し、最終的にその出資分を不動産投資信託の投資口に転換するという手法により、再開発を推進する手法などが検討されている。 |