公益法人・権利能力なき社団・特定非営利活動法人に対して法人税が課税されることとされている33種類の事業のこと。この33種類の事業は、法人税法第2条第13号(法人税法施行令第5条第1項)に規定されている。
法人税法上、公益法人、権利能力なき社団、特定非営利活動法人はこれら33種類の「収益事業」を営んでいる場合にのみ課税される扱いとなっている(また公益法人については一般の法人税率より低い軽減税率で課税されるという優遇措置が設けられている)。
従って、公益法人、権利能力なき社団、特定非営利活動法人が営む「収益事業以外の事業(公益事業など)」に対しては法人税が非課税である。
なお、これらの法人等に該当しない一般の法人(株式会社、有限会社、中間法人など)については、あらゆる収入について一般の法人税率で課税されることとなる。特に中間法人は、公益法人等に類似した事業を行なう中間法人が多いだけに、こうした法人税法上の取扱いの違いに注意が必要である。
1)収益事業の範囲
法人税が課税される収益事業は具体的には次のものである。
1.物品販売業 2.不動産販売業 3.金銭貸付業
4.物品貸付業 5.不動産貸付業 6.製造業
7通信業 8.運送業 9.倉庫業
10.請負業 11.印刷業 12.出版業
13.写真業 14.席貸業 15.旅館業
16.料理店業その他の飲食業 17.周旋業
18.代理業 19.仲立業 20.問屋業
21.鉱業 22.土石採取業 23.浴場業
24.理容業 25.美容業 26.興行業
27.遊技所業 28.遊覧所業 29.医療保険業
30.技芸の教授 31. 駐車場業 32.信用保証業
33.その他工業所有権その他の技術に関する権利又は著作権の譲渡又は提供を行なう事業
2)公益法人における収益事業の取扱い
法人税法における公益法人は、宗教法人、学校法人、財団法人、非営利の社団法人などである。これら公益法人については上記33種類の収益事業に対して一律22%の税率で課税され、収益事業以外の事業(公益事業など)については法人税が課税されない。
例えば宗教法人については「宗教活動」が収益事業以外の事業であるので、法人税が非課税であり、宗教法人が運営する寺院墓地・お守りの販売・お賽銭などは原則的に課税されない。しかし宗教法人が経営する駐車場は上記1)の31に該当するので収益事業となり、22%の税率で課税される。
3)権利能力なき社団における収益事業の取扱い
同窓会、互助会などの権利能力なき社団は、法人税法上、公益法人に準じた扱いとされており、上記33種類の収益事業についてのみ課税され、収益事業以外の事業(公益事業など)については法人税が課税されない。
ただし収益事業に対する税率は普通の法人と同じである(所得金額800万円以下は22%、所得金額800万円超は30%の税率である)。
なお同窓会事業、互助会事業そのものは、法人税の課税対象外であるが、同窓会事業や互助会事業に伴って生じた手数料収入などの収入は収益事業として課税される場合がある(一例として権利能力なき社団である県職員組合が、生命保険料を職員から徴収する対価として保険会社から手数料収入を得ていたことに対し、法人税が課税された例がある)。
4)特定非営利活動法人における収益事業の取扱い
特定非営利活動法人は、上記の収益事業を営んでいる場合には、権利能力なき社団と同様に所得金額800万円以下は22%、所得金額800万円超は30%の税率(普通の法人と同じ税率)で課税される。収益事業以外の事業(公益事業)については法人税が課税されない。 |